画像引用元:ムービーDM
一般社団法人 日本ダイレクトメール協会が2024年4月発表した「DMメディア実態調査2023」によると郵便DMの開封・閲読率は75.1%となっており、SNSやインターネットが一般的となった昨今においても高い訴求効果が期待できます。近年では『ダイレクトメール × Webサイト』のクロスメディア戦略が多く採用されており、予約アプリやサイトアクセスなどWeb誘導に効果を発揮し、特に20代30代40代の若年層に効果的です。
今回は、Web誘導が可能なQRコード付きDMの概要とメリット・デメリット、QRコード付きDMの成功事例、反応率UPさせるQRコード付きDMの作成方法をご紹介いたします。
目次
QRコード付きDMとは?
画像引用元:株式会社BCN
QRコード付きDMとは、スマートフォンで読み取り可能なQRコードを掲載したDMのことです。スマートフォンでQRコードを読み取ることにより、自社のWebサイトやECサイト、ランディングページ、アプリ等にアクセスできる仕組みです。
QRコード付きDMは、DM受け取り後のネクストアクションへの行動障壁が低くなるだけでなく、企業にとってもどの顧客が・いつ・何回アクセスしたのかを計測できるため反応率を導きやすくPDCAを回しやすくなります。
QRコード付きDMを受け取ったことがある人は64%
画像引用元:「DMメディア実態調査2023」報告(要約版) 改定
2023年に発表された一般社団法人 日本ダイレクトメール協会の調査によると、QRコード付きDMを受け取ったことがある人は64%となっています。また、通常のDMを受け取ってから「内容についてインターネットで調べた」人が10.0%となっている一方、QRコード付きDMを受け取った人のうち実際にQRコード等を利用してWebアクセスした人は44%となっており、QRコード付きDMはWeb誘導において高い反応率が期待できます。
次章では、QRコード付きDMのメリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。
QRコード付きDM5つのメリット
メリット1:DMの反応率を高めることができる
通常のDMは「来店してもらう」「検索してもらう」「電話してもらう」などのゴールが一般的ですが、QRコード付きDMはWeb誘導により、Webサイトの商品ページやサービスページ、店舗ページや問い合わせ・申し込みページ、ダウンロードページ、アプリやLINE@などへのアクセスが手軽になります。そのため、顧客がDM受取り後のアクションを起こしやすく反応率が高まりやすいというメリットがあります。
一般社団法人 日本ダイレクトメール協会の調査によると、DMを閲覧した後に何らかの行動を起こした行動喚起率は19.7%となっており、なかでも男性20代~40代、女性20代の若年層のスコアが最も高くなっています。
スマートフォンを日常的に使いこなしQRコードを読み取る習慣がある世代がターゲットの場合、QRコード付きDMは反応率を高められる有効な施策です。
メリット2:着地させたいWebページへ誘導がしやすい
通常のDMは具体的なネクストアクションを顧客に委ねる部分が多くありますが、QRコード付きDMはDM受け取り後に顧客に取ってほしいネクストアクションのWebページやアプリのQRコードを掲載しておくだけで、顧客をそのページに簡単に誘導できます。
【QRコードのリンク先の事例】
- 資料請求してほしい場合→【Webの資料請求申し込みフォーム】
- 来店してほしい場合→【店舗のGoogleマイビジネス】
- 商品を知ってほしい場合→【Webの商品詳細・購入ページ】
- キャンペーンを知ってほしい場合→【Webのキャンペーン特設サイト】
QRコード付きDMは、着地させたいWebページをQRコードで指定することが可能なので購買意欲を逃すことがありません。
また、来店誘導が目的の場合は「DMを忘れてしまったので、諦める」という顧客に対し、店頭にDMを置いておくことでその場でQRコードを読み取ってもらうことも出来ますので、顧客獲得のチャンスを逃すこともありません。
メリット3:より多くの情報を伝えられる
最も閲覧・開封されるDMの形状はハガキですが、ハガキは紙面の大きさにより伝えられる情報量が限られるというデメリットがあります。
しかし、DMにQRコードを記載することによりWeb誘導が可能なので、通常のDMに比べ顧客に伝えられる情報量が多くなります。
QRコード付きDMは企業・店舗ホームページURLやオンラインストアのURL、各種SNSのURLなどへのWeb誘導が可能なので、商品やサービス、企業や店舗の魅力をアピールする機会が増え、顧客への訴求効果が高まります。
メリット4:QRコードによる流入を計測できる
DMの成約率は実際に顧客がDMを起点として商品・サービスを購入(成約)した場合に算出可能ですが、さまざまな顧客との接点がある昨今、DMによる純粋な購入経路を辿ることは難しいのが現状です。
QRコード付きDMはQRコードによる流入を計測できるためDMの反応率を導くことができ、DMの効果測定がしやすいというメリットがあります。効果測定ができればPDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を回しやすくなるため、DMの無駄打ちを防ぎ費用対効果を高めることができます。
メリット5:QRコードを活用して信書も送れる!
一度に500通以上の大量のダイレクトメールを発送する場合は、通常よりも発送費用を大幅に削減できる特約ゆうメールがおすすめですが、「信書」の場合ゆうメールを利用することができません。
「信書」とは、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」を指し、受取人の名前が記載されているもの、顧客の商品の購入履歴・利用歴などが記載されているもの、会員や取引先企業などに宛てられたDMも「信書」に該当します。
作成したDMが「信書」になるかどうかについては郵便局の事前審査によって内容が厳しくチェックされるため、当初ゆうメールでのDM発送を考えていても、審査の結果によっては普通郵便の料金で送らなければらないというリスクがあります。
DM施策は顧客への訴求力を高めることが重要ですので、「信書」とみなされる文言を削除する代わりにWebアクセス可能なQRコードを掲載して、Web誘導した先で顧客へ確度の高い訴求をしつつ、ゆうメールの利用で発送費用を抑えるという方法もおすすめです。
ダイレクトメールは信書になる?信書の定義と信書DMを送る方法>
QRコード付きDMのデメリット
デメリット1:50代女性には効果が薄い
2009年にインフォシークと三菱総合研究所が15歳から69歳の男女を対象に実施したQRコードに関する調査によると、携帯電話利用者の89%がQRコードを見かけた経験がありますが、実際にQRコードを読み取った経験があるのは50歳以上になると1割前後に留まります。また、一般社団法人 日本ダイレクトメール協会の2023年の調査結果によると、50代女性の60%はQRコード付きDMを受け取った経験がなく、80%はWebアクセスした経験もないようです。
これらのことから、50代以上をターゲットにする場合はQRコードが読み取られない可能性も留意して、商品やサービスをネット検索してもらえるよう「〇〇で検索」等の文言もDMに記載しておくと良いでしょう。
デメリット2:Webページを用意する必要がある
QRコードDMを作成するには、QRコードを読み取ったのちに表示されるWebページを用意しなければなりません。すでに自社のWebサイトやキャンペーンサイト、アプリなどがある場合はWebページに効果測定用の「アクセス解析タグ」を埋め込んでQRコード化するだけでOKですが、自社のWebサイトやキャンペーンサイトがない場合は新たにWebページを作成する必要があります。
QRコード付きDMで反応率がUPした事例
通常DMからQRコード付きDMに変更することで反応率UPに成功した事例を4つご紹介します。
事例1:ECサイトのコンバージョン率20%UP
画像引用元:第33回(2019年)のDM大賞
第33回(2019年)のDM大賞を受賞したディノス・セシールは、自社ウェブサイトへ誘導するQRコード付きDMでコンバージョン率を20%増やすことに成功しました。
ECサイトで商品をカートに入れてから離脱した顧客に対し、カートに入れたままの商品の商品ページURLをQRコードにしてDMに記載した施策です。顧客が“欲しい”と思っているタイミングを逃さないよう、顧客が商品をカートに入れてから24時間以内にQRコード付きDMを発送した点と、あくまでも「オススメの商品ですよ」といったトーンのDMを送ったことが成功のポイントです。
事例2:反応率が従来の5%UP
画像引用元:小松総合印刷
牛角・とりでんは、デジタル型のくじ引きをQRコード化したDMを作成し、デジタルくじを引いて当たりが出ると該当商品をプレゼントするキャンペーンを実施することで反応率を3%から8%にUPさせることに成功しました。QRコードを読み込みデジタルくじに参加した後、DM持参で店舗に来店してもらうことで商品をプレゼントする施策です。
顧客の氏名を記載し、デジタルくじと合わせて500〜1,000円の割引特典を掲載したことも成功のポイントです。
事例3:新規顧客の獲得に成功
画像引用元:宣伝会議デジタルマガジン
封筒製造業者であるイムラ封筒は、顧客のダイレクトマーケティングを総合的に支援するサービス「イムらと」の開始に際し、「イムらと」のサービス内容とブランドの認知拡大のためのQRコード付きDMを作成しました。ダイレクトマーケティングの課題や悩みを、気軽に無料で相談できるカフェがオープンしたという設定でDMをデザインし、メンバーがカフェ店員風のユニフォームを着て、メンバーのメッセージや趣味などを記載したWebページを作成しQRコードから遷移できるようにしました。これにより、新規顧客の獲得に成功しました。
事例4:セミナー申込率13.7%を達成
画像引用元:株式会社クリエ・ジャパン
ファクシミリ・レーザープリンター・複合機・デジタルカメラなどの販売事業を手掛けるリコージャパンは、動画生成サービスの認知獲得およびセミナーへの集客のためにQRコード付きDMを作成しました。ターゲットである経営層のスケジュール帳をイメージしたクリエイティブにセミナー申し込みURLのQRコードを掲載することで、セミナー申込率13.7%を獲得しました。
反応率を高めるQRコード付きDMの作成方法
QRコード付きDMのメリット・デメリットや事例が分かったところで、反応率を高めるQRコード付きDMの作成方法についてご紹介します。
1)QRコード化したいWebページを用意する
2)Webサイトをアクセス解析ツールに登録する
3)Webページに解析タグを埋め込む
4)QRコードを作成する
5)QRコード付きDMのデザインを作成する
6)DMを発送し効果測定する
1)QRコード化したいWebページを用意する
QRコード化したいWebページを用意しましょう。資料請求してほしい場合は申し込みフォームを、来店してほしい場合は店舗へのアクセス情報ページや予約ページ、商品を購入してほしい場合は商品詳細ページやLP(ランディングページ)など、DM受け取り後に顧客に取ってほしいネクストアクションを考慮したWebページが必要です。
SNSアカウントをQRコード化したい場合も、アクセス解析をするにはWebページを用意する必要があります。
2)Webサイトをアクセス解析ツールに登録する
「アクセス解析ツール」とは、Webサイトの訪問者数/ページビュー/滞在時間/離脱率/閲覧履歴/コンバージョン率(成約に至ったユーザーの割合)/デバイス/性別/地域/年齢/流入経路などのデータを収集・分析するツールです。
Google社の提供するGoogle Analytics(グーグル アナリティクス)は無料の「アクセス解析ツール」ですので、自社のWebサイトを予め登録しておきましょう。
Google Analyticsの登録はこちら>
3)Webページに解析タグを埋め込む
QRコード付きDMの効果測定ができるよう、用意したWebページに「アクセス解析タグ」を埋め込みましょう。「アクセス解析タグ」とは、Webページに訪問したユーザーの情報をリアルタイムに取得するためのHTMLタグのことです。
Google Analyticsのアカウント登録が終わると「アクセス解析タグ(トラッキングコード)」が発行されるので、取得したトラッキングコードをWebページのheadタグ内に貼り付けましょう。これにより、QRコード付きDMからWebページに流入した訪問者のデータが収集できます。
参考:WEBサイトへのコード埋め込み [Googleアナリティクスで最初にやるべきこと1]
4)QRコードを作成する
アクセス解析タグを埋め込んだWebページを用意したら、URLをQRコード化します。無料のQRコード作成サイトにURLを入れるとWebページのQRコードを作成できますので、スマートフォンで読み取り確認してからデータをダウンロードしましょう。
無料のQRコード作成サイトはこちら>
5)QRコード付きDMのデザインを作成する
QRコードを掲載したデザインやレイアウトを作成します。DM送付するターゲットに合わせて、キャッチコピー/商品・サービス説明またはキャンペーン内容/特典を用意します。
日本ダイレクトメール協会が実施している「DM形状別の閲読状況」アンケートの結果によると、読んだ人が圧倒的に多いのは「はがき(圧着含む)」42.6%となっていますので形状はハガキサイズがおすすめです。
効果的なダイレクトメール(DM)のデザインは?レイアウト、作成事例を紹介
6)DMを発送し効果測定する
QRコード付きDMを発送したら、Google Analyticsでアクセス数を確認してDMの効果測定を行います。
2023年のDM調査によるとQRコード付きDMの反応率(QRコードを読み取ってWebアクセスした行動の割合)は、男性34%、女性39.2%となっています。また、ターゲット別のDM反応率は新規顧客の場合0.5〜1%、見込み顧客の場合1〜10%、既存顧客の場合5〜15%以上が目安です。どのような経路を経て成約に至るかはサービスや商品によって異なりますが目安にしておくと良いでしょう。
Google Analyticsで効果測定をしながらDM施策のPDCA(計画→実行→評価→改善)を繰り返していくことで、DMの反応率を着実に高めることができます。
ダイレクトメール(DM)の反応率の平均は?効果測定と費用対効果UPの方法について徹底解説
QRコード付きDMで反応率を高めよう!
今回は、Web誘導が可能なQRコード付きDMの概要とメリット・デメリット、QRコード付きDMの成功事例、反応率UPさせるQRコード付きDMの作成方法をご紹介しました。
一般的にDMの反応率はおよそ1.0%で成功と言われていますが、QRコード付きDMは44%と高い反応率が期待できます。
50代以上の女性をターゲットにする場合はQRコードの効果が薄い可能性がありますが、QRコード読み込みが日常のあらゆるシーンで一般化してきた昨今、DMとWebを組み合わせることで商品やサービスの訴求効果が高まることは間違いありません。
QRコード付きDMを作成する場合は、QRコード化するWebページをターゲットに合わせて検討することが大変重要です。また、アクセス解析ツールの使い方も習得していく必要があります。「自社でDMの効果測定やアクセス解析をするのが難しい」「自社に最適なDMの施策案が分からない」という方は、DM発送専門業者ジャパンメールにお気軽にご相談ください。DM発送代行専門会社としての実績を活かしたターゲティングや顧客リストの抽出など、DM発送に精通した専任担当者がお客様をサポートさせていただきます。
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