小規模事業者持続化補助金を活用したダイレクトメール(DM)の発送【第29回】

ダイレクトメール(DM)の発送が、国の補助金制度である「小規模事業者持続化補助金」の対象になることはご存じでしょうか。
「小規模事業者持続化補助金」とは、小規模事業者が持続的な経営に向け、経営計画に基づいた地道な販路開拓等の取り組みや、業務効率化、生産性向上等の取り組みを支援するために、その費用の2/3を補助してもらえるという制度です。
本記事では、「小規模事業者持続化補助金」を活用したダイレクトメール(DM)の発送についてご紹介いたしますので、ぜひ貴社の販促活動にお役立てください。

ダイレクトメール(DM)の活用

多くの企業様が売上向上のために、さまざまな施策を計画し実行されていることと思います。
商品やサービスをそのターゲットとされる見込み客に、そのメリットを伝え購入のアクションを起こしていただくことで、企業は売上が伸びていくわけです。
そうした結果を生み出すためには、まず商品やサービスのマーケット分析を行い、確実なターゲットに情報を伝えることで、その結果を得られることが可能となります。

1.ダイレクトメール(DM)

ご存知の方も多いと思いますが、実はダイレクトメール(DM)が、その役割を担っていると言えます。その理由は、ダイレクトメール(DM)は発送の段階で、相手(見込み客様)のセグメントを、より細かにできるという特徴を持っているからです。
Webでも、ターゲットを絞り込んだセグメント広告はありますが、実際には結果が見えにくいという現状があります。しかし、ダイレクトメール(DM)は、地域、業種、企業規模、個人であれば性別、シングル、カップル、ファミリーなどのセグメントの精度が高く、あらかじめターゲット層に集中的に情報を直接お届けしていくことが可能なのです。
また、ダイレクトメール(DM)の大きなメリットとして、試供品のご案内にミニプレゼントなどを同封することも可能ですので、受取側(顧客・見込み客)にダイレクトメール(DM)の明確なメリットを実感していただける特徴があります。
つまり、ダイレクトメール(DM)は、顧客や見込み客との親密なコミュニケーションに欠かせないマーケティングツールと考えられます。
結果的に、ダイレクトメール(DM)は、顧客や見込み客からレスポンスの受け取りも可能なため、両者のより良い関係を構築することができる特徴をもっているわけです。

引用参照元:一般社団法人 日本ダイレクトメール協会

2.ビジネスにおいて、ダイレクトメール(DM)を使わない理由はない!

現在のダイレクトメール(DM)には、ポスティングのような「チラシ」というイメージから、試供品同封や情報豊富な冊子タイプを送ることも可能となっています。
送付のパッケージも、デザインや形など自由度にあふれ、会社や商品への思いを込めたダイレクトメール(DM)を作成して送ることができます。
そうした工夫ができているパッケージだと、受け取り側も中身を空けたくなる衝動に駆られる確率が上がっていきます。

3.ダイレクトメール(DM)のメリット

① Web広告ではリーチできないターゲット層への、アプローチが可能!

ダイレクトメールは、ターゲットへ直接郵送して見ていただくため、Web広告でのターゲットアプローチよりも直接的です。

② 顧客からの反応が得られる(=効果測定ができる)

ダイレクトメールには顧客様からの反応がわかるよう、アンケート用ハガキやWebページ入力情報などを同封しています。この施策によって、ターゲットから直接的に反応を得られやすいという特徴があります。

③ 効果測定ができる

ダイレクトメール(DM)の印刷物にQRコードをプリントし、そのアクセスデータを活用することで、どのような施策の反応率が高かったとか、どのようなデザインが開封されやすいとか、どのターゲットに送ったときが購入率やリピート率がアップしたかなど、ダイレクトメール(DM)の施策の効果測定も行うことが可能です。
効果測定のデータを分析して、次の施策に活用することで、効果を上げるマーケティング施策のアイデアにも活用できます。

4.ダイレクトメール(DM)の成果と費用

これだけのメリットがあるダイレクトメール(DM)を、ビジネスシーンにおいて、利用しない手はないと思います。
ただ、ダイレクトメール(DM)の効果のゴールをどこに置くかですが、商品やサービスの問い合わせ数が増えることを成功とするか、成約率が高まることを成功とするかで、ダイレクトメール(DM)にかかる費用も違ってきます。
ある意味、ダイレクトメール(DM)にかかる費用は、スタートさせてみないと不明ですが、その費用を「小規模事業者持続化補助金」で賄うことができることをご存知でしょうか?

申請を検討されている方の中には、「ダイレクトメール(DM)」の経費が、補助金の対象になるか否かで悩まれている方もいらっしゃるのではと考え、「小規模事業者持続化補助金」について詳しく解説していきます。

小規模事業者持続化補助金(=持続化補助金)とは?

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が持続的な経営のために、経営計画に記載のある販路開拓や生産性向上の取組の施策を支援する国の補助金です。
この補助金は、全国商工会連合会が小規模事業者を対象として、持続的に事業を発展させていくために2014年に開始され、幅広い業種や用途で活用できる唯一の補助金です。
小規模事業者持続化給付金 -東京商工会議所-

◇補助金申請の対象者
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):常時使用する従業員の数5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数20人以下
製造業その他:常時使用する従業員の数20人以下

◇補助金を活用できる使いみち(補助対象経費)
持続化補助金は、幅広い用途に使えるため、その用途に該当する補助対象の経費が、自社の販路開拓に関する取り組みにあれば積極的に活用しましょう。

◇補助対象となる経費の一覧

  1. 機械装置等費:製造装置の機械購入等
  2. 広報費:新商品やサービスを紹介するチラシ・パンフレットの作成と配布、看板の設置費用等
  3. ウェブサイト関連費:ウェブサイトやECサイト等を構築、更新、改修するために要する経費
  4. 展示会等出展費:展示会や商談販売会の出展費用等
  5. 旅費:販路開拓(展示会等の会場との往復を含む)等を販路開拓施策のための旅費
  6. 開発費:新商品・システムの試作開発費等(販売商品の原材料費は対象外)
  7. 資料購入費:補助事業に関連する資料や図書の購入費等
  8. 雑役務費:補助事業のために雇用したアルバイトや派遣社員の費用
  9. 借料:機器・設備のリース・レンタル料(所有権移転を伴わないもの)
  10. 設備処分費:新商品やサービスを行うためのスペースを確保するための設備処分費用等
  11. 委託・外注費:店舗改装など自社では実施困難な業務を第3者に依頼(契約必須)

1.ダイレクトメール(DM)は、広報費枠で利用可能

事業の広報活動として、パンフレット・ポスター・チラシなどを作成および、広報媒体などを活用するために支払われる経費は、補助事業計画に基づく商品やサービスの広報を目的としたものとして補助対象になります。一般的な企業PRや営業活動に活用される広報費は、補助対象となりませんのでご注意ください。
つまり、小規模事業者持続化補助金の条文に書かれているように、販路開拓に繋がる施策に含まれなければいけませんので、商品やサービスの名称や宣伝文句がその広報活動に付記されていないものは補助対象とならないということです。
その点、商品やサービスの告知をするダイレクトメール(DM)であれば、何も制限されずに補助金を利用することができます。

□小規模事業者持続化補助金の対象となる広報活動経費例

  • チラシ・カタログの外注や発送
  • 新聞・雑誌等への商品・サービスの広告
  • 看板作成・設置
  • 試供品(販売用商品と明確に異なるものである場合のみ)
  • 販促品(商品・サービスの宣伝広告が掲載されている場合のみ)
  • 郵送による DM の発送

2.補助金の申請にあたり注意しておくこと

①補助金を受け取るのは、申請約1年後

補助金は、事業者が行う販路開拓の取り組みを「補助」する資金です。
そのため、補助対象となっている経費のうち、自費で支出した金額の一部が、事業内容の確定検査後に補助される仕組みになっています。
つまり、事前に補助金を受け取って経費として支出できるのではなく、概ね1年後に戻ってくる資金であることにご注意ください。
そして、支出金の全額に対して補助率が3分の2であれば、同等の割合で支出額が戻ってくることになります。従って、3分の1は自己負担となりますが、企業として販路開拓することは日常的にありますので、その手段としてダイレクトメール(DM)を活用するときには、補助金を利用するといったスタンスで申請準備をされることをおすすめします。

②補助金受け取りには、事業計画書の完成度を高める

国の補助金は、助成金や給付金とは少々違い、申請要件を満たせばそれで100%受け取れるというものでもありません。というのも、補助金には一定の予算があり、申請されているその内容を審査して評価の高い順に決まっていく(採択)という仕組みになっているからです。
そのために、申請資料として提出する「事業計画書」の完成度を高めることで、評価が高くなり当然補助金受け取りの確率も高くなるというわけです。
しかし、この事業計画書や申請書類の作成はかなりやっかいで、素人が本業の片手間に作れるようなものではありませんし、適当に作って申請しても採択されなければ補助金はもらえません。
そこでお勧めするのが、書類作成を行政書士へ依頼する方法です。代行費用として別途5~10万円ほどかかりますが、専門家ですので自ら書類作成するより採択の確率が高くなりますし、中には成功報酬型(着手金のみで、採択されなければ成功報酬無料)の行政書士事務所もあります。
事業計画書や申請書類の作成に自信の無い方やその手間を惜しむ方は、行政書士への依頼も考えてみてはいかがでしょう。

3.補助金を申請できる対象者とは

持続化補助金は、事業をしている小規模の中小事業者が対象となっており、法人に限らずフリーランスや個人事業主も対象となっています。
下記の2点に当てはまれば、持続化補助金を申請対象者となります。

① 小規模事業者であること

小規模事業者の枠組みは、常時使用する従業員数によって小規模事業者か否かが決まります。
そして、小規模事業者として認められる従業員数が、業種ごとに異なるためご注意がください。

【小規模事業者の要件】

  • 商業、サービス業(宿泊業・娯楽業除く)・・・常時使用する従業員数5人以下
  • サービス業のうち宿泊業・娯楽業・・・常時使用する従業員数20人以下
  • 製造業その他・・・常時使用する従業員数20人以下

② 持続化補助金の対象に該当しない事業

持続化補助金は、いわゆる商工業者が対象となっていますので、商品やサービスを販売する業種、商品や製品を造作する業種が対象となっています。
該当しない業種として、医療系、非営利系、農業系は対象外となりますのでご注意ください。

まとめ

小規模事業者持続化補助金は、とても使い勝手の良い補助金となっています。
もちろん、助成金や給付金と違い、申請さえすれば100%受給できるといったわけではありませんし、今回の公募(第8回)からは、ウェブ関連費に関する内容に多少の制約ができたものの、工夫次第で活用することが可能な補助金であることには変わりません。
販路開拓や生産性向上を実現したい、そのためにダイレクトメール(DM)でPRしたいという小規模事業者の方は、この補助金を上手く活用し経費を抑えた事業展開をされることをおすすめします。